1990年に発表された古い論文ですが、ハウスダウスの減感作療法に関して書かれていましたので、参考程度に記載します。
以下の本文で用いる引用部分は、すべて「耳鼻と臨床 Vol. 36 (1990) No. 5Supplement6 p. 1105-1110 ハウスダスト鼻アレルギーに対する減感作療法の長期継続例の検討」からの引用となります。
なお、あくまで一論文に過ぎないため、これがすべてでも真実でもありません。単に実験結果の一つという点を必ず念頭に置いてご覧下さい。私自身、ハウスダストの減感作療法を試してはいませんので、経験談ですらありません。
減感作療法とは
簡単にではありますが、まず減感作療法の説明を。
ハウスダストや花粉などのアレルギー減(アレルゲン)となる物質に刺激され、人間の身体が過剰に反応して鼻水がでるわけですが、このアレルゲンを慎重に体内に入れることでアレルゲンに対する反応を抑制することが可能です。
減感作療法とは、このようにアレルゲンを用いて体質を変化させるような状態を意図しています。
ただ、万能の治療法ではありません。治療法につきものの個人差はありますし、必ずしも長期間効果が続く訳でもなく、完治したと思っても実は自然治癒である可能性もあり、効果もその測定も難しいのが現状です。
減感作療法に用いる薬剤
論文では、ハウスダストの減感作療法に用いた薬剤を次のように記載しています。
治療エキスは鳥居薬品製エキスを使用した
「鳥居製薬」で調べてみましたら、アレルゲン製品として「花粉/ダニ/ハウスダスト/食品/etc」など数多くのアレルゲンを取り扱っていることがわかりました。いわゆる製薬会社です。
ただ、このハウスダストのアレルゲンが何でできているのかはいまいちわかりませんでした...。
減感療法の効果
論文には詳細な実験の方向や考察が記載されていますが、結論部分のみ引用します。くどいようですが、実験データを考察した結果に過ぎないことをご理解ください。
ハウスダスト減感作療法の実施において他治療を含めた対応を考慮する際には治療の開始後2~3カ月の経過が重要である.治療の継続期間は経過観察の意味もあり,現状では少なくとも2年は必要と考えられる.13歳から15歳で自然治癒が期待できると思われる例もあり,経過観察で注意すべき年代である.考え方を変えれば10歳前後の鼻閉の強くない例に対しては抗アレルギー剤を主体とした治療スケジュールが考えうる. 他に代わりうる根治的治療がない現状において,減感作療法はハウスダスト,ダニ鼻アレルギー患者のQuality of Lifeを高めるうえでの有力な手段であるが,個々の症例において必ずしも満足な結果をもたらしているとは言えない.他療法の併用を含め,いかに効率的に減感作療法を使つてゆくかが今後の問題である.
論文の結論として特に見るべき点は以下の事柄でしょうか。
- 2年は必要(1990年当時)
- 個々の症例において必ずしも満足な結果をもたらしているとは言えない
- 他療法の併用
他の治療法よりは効果があるが、2年は治療が必要であり、効果が不安定であり、他療法との併用が必要、となるようです。
既に冒頭で書いていますが、万能薬ではないということです。
しかしながら、スギ花粉症と同様にハウスダストにも減感作療法がしっかりと存在することに間違いはなく、もろもろのリスクを加味した上で選択しに入れても良いのかもしれません。
ただ、体質の問題はあるでしょうから、医師がGOサインを出してくれない場合は素直に諦めたほうがよいでしょう。アレルギー反応は命を奪う可能性がありますから。