このページでは「布団のダニ退治と掃除機」に関して、掃除機の有効性や限界などについて書いています。
高価な掃除機を買って、仮にそれが高性能だったとしても、掃除機掛けの基本を知らなければ宝の持ち腐れです。
掃除機掛けのコツをまず知りたい方は、ページ中頃の「布団の掃除機掛けのポイント」をご覧下さい。
布団の掃除機掛け
布団の中に潜むダニのほとんどは「チリダニ」と呼ばれるダニで、約65日で一生を終え、その間に50匹の卵を生むそうです(参考:「チリダニの繁殖状況」)。
つまり、定期的にダニを減らす必要があり、可能ならできるだけ頻繁にダニを取り除なければなりません。
そのため、掃除機を用いて日常的にダニの駆除を行うことは有効です。
布団を叩くより掃除機で吸い取る
布団のダニ取りといえば、ベランダに干して布団叩きで叩くというイメージもあるかもしれません。
しかし、布団を叩くと内部にたまったハウスダストのダニアレルゲン(ダニの死骸や糞)が布団表面に出てきて、アレルギー症状を悪化させかねません。
生きているダニに関していえば、布団を叩いてもダニは奥に逃げてしまうので、叩いてもダニ駆除の効果は期待できません。
そのため、効果は限定的ですがダニを吸い取るだけの布団の掃除機掛けが害が少なくまだ有効です。
布団叩く機能を持つ掃除機の微妙さ
この点を踏まえて考えますと、棒状のもので布団表面を叩く機能を持つ掃除機用ノズルや布団専用掃除機の効果が微妙である点がお分かりいただけるかと思います。
人間が全力で叩いても難しいのに、モーターでくるくる回る程度の打撃力には期待できません。
普段から洗濯物を扱う主婦の皆さんであれば、ご経験からお察しいただけるかと思います。
生きたダニは掃除機で吸いにくい
掃除機で吸えるのは、生きたダニの5分の1程度だそうです(参考「科学で ダニ を撃退せよ」)。
では、なぜ生きたダニを掃除機で吸えないのか?
答えは簡単で、ダニが自分の手を布団の繊維に引っ掻け、自力で吸引力に対抗するからです。
家庭用掃除機の吸引力には十分対抗できるのでしょう。
レイコップやダイソンなどの布団専用掃除機でも、ダニの駆除能力は基本的には変りがないはずです。
掃除機の吸引力には限界がある
掃除機の吸引力はモーターの性能以外にも、吸入口の性能にも影響されます。
吸引力を上げるためには吸入口と対象物(布団や床など)を出来るだけ密着させる必要があります
しかし布団は隙間だらけの繊維の固まりですから、掃除機の吸入口密着による吸引力の向上は望めません。
そのため、「掃除機で生きたダニを吸えないわけではないが、効果は薄い」という結論に達します。
※布団掃除機に関しては「ダニとダニアレルゲンと布団クリーナー」のページをご覧ください。
布団に掃除機を掛けてもダニは死なない
当たり前の話ですが、掃除機はダニを殺すための機器ではありません。
掃除機はゴミも吸い取るためのものであり、掃除機をかけてダニを殺すという発想は筋が違います。
掃除機の役割を正しく理解した方が、間違ったダニ対策を行うリスクを減らせるでしょう。
布団の掃除機掛けはハウスダスト対策になる
生きたダニの駆除は難しいですが、布団の掃除機掛けはハウスダスト対策にある程度の効果があります。
実は、掃除機の効果が期待できない生きたダニは、ハウスダストのダニアレルゲンとは見なされません。
ハウスダストの原因となるのは「細かく砕かれたダニの死骸」「ダニの糞」です
掃除機掛けで、これらのアレルゲンをある程度吸い取ることが可能です。
もちろんダニに咬まれた痒みも大きな害ですし、生きたダニ自体に問題がないわけではありません。
しかし、少なくとも鼻炎の原因として心配しなければならないのは生きたダニではなくダニの糞とダニの死骸です。
結論としては、掃除機はハウスダスト対策に有効です。
布団の掃除機掛けのポイント
基本的なことですが、ダニ退治のための掃除機掛けの方法は以下の3点。
- 週に一回以上掃除機を掛ける
- ゆっくりしっかり掃除機を掛ける
- 掃除機のゴミは定期的に捨てる
一部は既に触れていますが、以下に少し詳しくご説明します。
最重要の定期的な掃除機掛け
- 週に一回以上掃除機を掛ける
最重要にして最も基本的なポイントは、定期的に掃除機掛けを行うことです。
ダニの増殖速度を考えた場合、ダニが増える前の段階から減らし続けることが非常に重要だからです。
ダニは成虫になってから25日の間に40個程度の卵を生んで増えます(参考:「チリダニの繁殖状況」)から、数はすぐに増え、取りきれなくなります。
一度ダニが増えてしまえば掃除機の力では対抗できなくなりますから、リセットの意味で布団の洗濯をお勧めします。
回数よりも吸引時間が重要
- ゆっくりしっかり掃除機を掛け
ダニは繊維にしがみついていますから、対策として往復回数を増やしても、吸引力は増さず効果は期待できません。
弱い吸引力のまま何度掃除機をかけても引きはがせないからです。
床に掃除機をかける時よりもゆっくりと掃除機のヘッドを動かし、掃除機を掛ける部位に出来るだけ長く吸引力の影響を与えてください。
掃除機掛けの「速さと回数」よりも「部位に対する吸引時間」を重視してください。
掃除機のゴミの中で繁殖させない
- 掃除機のゴミは定期的に捨てる
掃除機のパックの中はエサが豊富に存在しているため、ダニの繁殖室のようなものです。
掃除機の排気フィルターの性能にもよりますが、掃除機のゴミの中で繁殖した場合、掃除機の排気にはハウスダストの元となるダニの糞や死骸がも含まれてしまいます。
掃除機自体がダニアレルゲン発生器になりかねません。
取ったごみの量ではなく、使い始めてからの期間で掃除機のゴミを捨てることをお勧めします。
布団のハウスダスト対策に適した掃除機選び
趣旨から少しズレますが、ダニではなくハウスダスト対策を念頭に置いた掃除機の選び方などのページもありますので、ご紹介します。
ダニ対策としての掃除機選びという内容で書ければよかったのですが、「吸引力が重要」以外に書けることがありませんでした...。
掃除機に求めるのは、とにもかくにも「ダニを布団から引きはがす」ことなので、吸引力重視の選び方になるのは当然ですものね。
掃除機を買い替える前に
吸引力に関しては既に前項の「布団の掃除機掛けのポイント」のように、どの掃除機でも必要となる基本を抑えられれば、ある程度は対応できます。
反面、布団表面が凸凹しており、繊維の隙間も多い場合には、どのように頑張ってもダニ吸引の効果向上は望めません。
ダイソンのように吸引力の強さを謳う掃除機は選択肢に入りますが、「手抜きの掃除機掛け」と「吸引効果を削ぐ表面状態」が合わさると掃除機を買い替える意味がありません。
まずはお手元の掃除機で、前述の掃除機掛けのコツを実践することをお勧めします。
その上で効果に不満を感じる場合、あるいはもっと評判の良いものを試してみたい場合には、掃除機の買い替えを検討されるのがよいでしょう。
掃除機を買替えても、押さえなければならないポイントは同じです。
布団の中のダニを効果的に駆除する方法
なお、布団の中のダニを駆除する方法としては別のページに書いていますので、下記のページをご覧ください。
ダニ対策としての洗濯に焦点を当てた以下のページもあります。