ダニ退治ではありませんが、ダニを寄せ付けない予防的な方法もちゃんと存在します。
なお、「布団の洗濯によるダニ退治」「布団の掃除機掛けによるダニ退治」に関してはそれぞれのページをご覧下さい。
薬剤による防ダニ加工(処理)
ダニ対策として防ダニ加工が挙げられます。
その方法の1つとして、薬剤(ダニ忌避剤)等によりダニを寄せ付けない処理をした寝具があります。
薬剤だけに効果が高く即効性があるのですが、経年劣化してあまり長期間の効果は望めません。
調べた範囲ではバラバラですが、6ヶ月効果があるというところもありました。
実際の処理としては、「繊維に薬剤を練り込む方法」と「後から薬剤を付ける方法」があります。
どちらも人体への影響は考慮されていますが、妊娠されている妊婦の方や肌が敏感な方、そして乳児に対してはやはり心配な部分もあります。
薬剤防ダニ布団の手入れをどうするか
薬剤である以上布団を丸洗いすれば布団から流れ出てしまう可能性が高いといえます。
また、布団乾燥機などの熱による影響も捨てきれません。
いずれにせよ、家庭で薬剤を補充できない以上、薬効が切れたらどうにもできない点もデメリットです。
現実的には、専門業者に布団クリーニングを依頼し、そこで防ダニ加工を施してもらうというのが良いと思います。
防ダニ加工を行う業者としてはふとんLenet などがありますので、そちらのご利用をお勧めします。
ダニに用いる薬剤の一例
1989年に書かれたかなり古い論文なのですが、「HD鼻アレルギー患児における防ダニ剤の検討」という論文が「耳鼻咽喉科臨床 Vol. 82 No. 8 P 1069-1074」に記載されており、そこでは防ダニ剤について書かれていますので引用します。
今回, 使用したピレスロイド系防ダニ剤8)は, 主成分がペルメトリンで, 一部サルチル酸フェニールを含有する. ペルメトリンは, 化学式をC21H203C12で表し, その構造式は, 図4に示すとおりである. 薬理作用は, 接触毒として, 昆虫神経に作用する. ただし, 末梢神経性か, 中枢神経性かは, 不明である・神経毒としての作用は, NaとKイオンの神経細胞膜の透過性の変換によるものである
気軽に「防ダニ剤」「殺虫剤」といって使用していますが、効果を考えると「神経毒」というものには違いありません。
「虫には毒だが、人には害がない」というだけです。
もちろん全く違うアプローチをしている薬もあるかと思いますが、認識としてはかわらないでしょう。
ピレスロイドの成分
なお、この「ピレスロイド」という成分に関しては以下のようにもかかれています。
ただし, 殺虫剤という性質上, その毒性にも十分注意すべきである. さいわい, ピレスロイド系製剤は, 比較的毒性が低く, 蚊取線香をはじあ, 日常, 繁用されている防虫剤で, その使用方法さえ間違えなければ, 人体に対する安全性は極めて高いものである.
使い方によっては人間にも害があるようですが、よほどのことでもなければ注意をしている限り問題はないようです。
農薬と同じように、虫がつかないように薬をつかうなら、ある程度許容しなければならないリスクであると言えます。
繊維と織り方による防ダニ加工
薬剤ではなく、繊維自体に特殊なものを使い、さらに製造にも技術をつぎ込んだ防ダニ加工の製品もあります。
基本的には、布を織る際に隙間をできるだけ小さくして布団内部へのダニの侵入を防ぎます。
布団の外側に強固な壁を作り内部にダニをいれない防衛方法ですね。
薬品を使っていないので肌に影響が無く、子供や妊婦の方にも安全性があります。
物理的に侵入を防ぐため効果は高いのですが、技術と素材にコストがかかるので値段が高く、繊維の摩耗を防ぐ為にそれなりに気を使わなければなりません。
最近ではアレルギー対策に関心のある方の間では一般常識的な知識になっていますが、この種の製品としては「ミクロガード」「ダニゼロック」などがあります。
防ダニ布団カバー
一般的には、布団自体よりも布団カバーに対して防ダニ加工を施した、防ダニ布団カバーもよく使われているようです。
ディーガード などは高額ですが、布団自体が繊細で扱い辛いより、カバーだけ扱い辛い方がまだよいと判断されているからでしょうか。
ダニ誘引剤によるダニ駆除
目的としては布団に限らないダニ退治なのですが、仕組みや方法から考えますと「ダニの繁殖予防」か「ダニを一定数以下に保つ方法」のような予防に近いダニ対策もあります。
その方法とは、ダニが好むニオイなどを出す誘因剤を使ってダニを集めて捕獲する方法です。
ゴキブリホイホイや蠅取り紙と同様で、使ったら捨てる使い捨てとなります。
仕組み自体は単純なだけあって、しっかりとダニを引き寄せ捕獲することが可能だと思います。
反面、部屋の広さやダニの数(繁殖力も踏まえる必要があります)など物理的な面を考えますと、あくまで「ある程度ダニ対策効果」と考えざるを得ません。
上記を踏まえての筆者の結論としては、ダニの根絶を目的としたり、ハウスダストの被害を劇的に改善するような、効果的なダニ対策とは言えません。
微妙に引き寄せられつつ捕獲できなかったダニの存在を考えると、ちょっと怖いものもありますし。
効果が微妙なため筆者としては勧めしませんが、「とりあえず、なんでもいいから試してみたい」という方のために2つ程ご紹介しておきます。
ダニピタ君
3ヶ月は使えるようですね。
ダニ捕りロボ
どのへんがロボなのか全くわかりませんが、こちらも3ヶ月とのことです。
防ダニ関連製品は手入れが難しい
薬剤にしろ繊維と織り方にしろ、防ダニ加工は手入れが難しいと言えます。
薬剤の場合、塗布するタイプであれば定期的な塗布を行うことで洗濯も可能ですが、繊維にしみ込ませるタイプは洗えば当然効力が弱まります。
繊維と折り方による防ダニ加工に至っては、加工が繊細すぎて清潔に保つことも難しいでしょう。
ダニは来ずとも、寝汗や皮脂はしみ込む訳で、通常の洗濯がしにくいと不便です。
ダニを遠ざける意味では効果的ではあるのですが、持続効果と日常的な手入れ、清潔を保つ方法があるのかどうかはよく検討する必要があります。